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Dr.スランプ研究論文

 このコーナーでは、Dr.スランプの中に存在する様々な謎や、世界観を形作る重要な要素について小生が研究・解明したものを公開していきます。(研究のソースは原作中心です。)
 スランプに関する疑問質問の類いがあれば(分かる範囲で)対応致しますのでガンガンお寄せ下さい。


則巻千兵衛博士はどんな目的で「アラレ」を製作したのか?
アラレの構造はどうなっているのか?
アラレ・システムの技術史
千兵衛の生い立ち、及びマシリトとの確執の原因
なぜアラレとオボッチャマンは性格が異なるのか?


則巻千兵衛博士はどんな目的で「アラレ」を製作したのか?

 「アラレ」は、「新作」においては「家庭用お手伝いロボット」との明確な目的のもとで製作された事が明示されているが(「新作」第1話)、「原作」「旧作」にはいずれも明確な製作意図は示されていない。
 とは言え、実際千兵衛博士が「アラレ」を「コンシューマー向けハウスワーキングアンドロイド」開発の為の、及び自身のロボット工学技術の結晶となる「疑似人間」のプロトタイプとして製作した事はほぼ間違いはない。千兵衛がアラレに家事ロボットとしての行動を期待していた事は「原作」第1巻『デカチビ光線銃!』にも明らかであるが、「原作」「旧作」においてはむしろこの側面よりも後者の「疑似人間」技術の開発が少なく無いように思える。
 本当に家事ロボットとしてだけの側面を期待するのであれば、わざわざアラレがロボットである事をペンギン村の住民達に隠す必要も無い訳であるし、学校へ通わせる必要も無いからである。
 人間型ロボット研究が進むにつれ、千兵衛自身の技術力も進歩し、極めて柔軟な人工知能(電子頭脳と呼ばれる)の開発に到達した。自己思考型コンピュータ搭載の「疑似人間」アラレ・システムの完成である。
 「アラレ」は「則巻アラレ」の名を与えられ、千兵衛の妹となった(「原作」第1巻『アラレ誕生!』)。兄の計らいで中学校に通う事にもなり、友人達にも恵まれる事になった。「人間」としての暮らしである。そこには千兵衛が自分の技術力のレヴェルを密かに確かめようとした目的があったのである。
 もう1つ、考えられるとすれば、無機質な研究室で1人で研究生活を続けた千兵衛が、その孤独感に疲れて共に暮らす者を求めた、という点も指摘出来る。10歳にして両親を失い(「原作」第11巻『じいちゃんが山に帰っていった』)それ以来人との交わりも少なかった千兵衛のこと、20代も半ばを過ぎて人恋しくなる時もあったであろう。
 「アラレ」製作意図は概ね以上のような理由である。


アラレの構造はどうなっているのか?

 アラレ・システム(システム的に同構造のオボッチャマンも同様である)は千兵衛博士の非常に高い科学力の結晶であるので、そう簡単に構造を明らかにできるものではないが、「原作」を頼りにそれに挑戦してみたい。
 まず、アラレの核になるのが「電子頭脳」と呼ばれる(「原作」第13巻『ドキドキトゥナイト』)自己思考型コンピュータである。これはもちろん頭部に格納され、ロボビタンA(システム稼動の為のメインのエネルギー)によってジェネレーターで発生する電力で稼動しているものと思われる。重要なのは、この電子頭脳は、アラレ中〜後期型(形式については後述)では頭部のみならずボディにも内蔵され、頭部の電子頭脳をホストとしてボディも単体で動作可能であるという点である(「原作」第9巻『アラレちゃんのなくしたもの』、第13巻『アラレさんも・・・なの??』他)。ただし飽くまで頭部のコンピューターがホストであるため、頭部へのエネルギー供給が止まったり、何らかの理由でエラーが発生した際は、たとえボディが正常でもシステムの機能は停止する(「原作」第14巻『合体しちった!』)。これはホスト側の制御を失ってボディが暴走するのを未然に防ぐためだと考えられる。
 さて、アラレ・システムは前述の通りロボビタンAをエネルギーとするが、これは哺乳瓶1本程度の量で半日から数日間の稼動が可能である極めて生産的なエネルギーである。あるいはアラレ・システムの高いエネルギー変換効率の為でもあるが、どちらにしろ、口から入るロボビタンAは疑似食道、疑似胃腸(燃料タンク)を経て動力ジェネレーターへと運ばれ、エネルギーとなる。これが単なる燃料タンクでないと言える理由は、(ボディによっては)我々が摂取するような食物もエネルギーに換える事が出来るためである。発生した電気は頭部、ボディそれぞれのバッテリーに充電されるのであるが、ジェネレーターはこれもまた1箇所だけにあるのではなく、少なくとも頭部とボディに1つずつはある様子である。実際、ロボビタンAは全てタンクに蓄えられるのではなく、ちょうど血が全身を巡っているように、チューブを通して全身に送られているようだ。初期型は頭部とボディがコードとチューブで繋がっていたし、後期型にしてもプラグが見える。血の巡りが悪くなれば頭がぼーっとするように、アラレもロボビタンAの循環が悪くなると次第に動きが緩慢になる。頭部にも小型のジェネレータと充電装置が内蔵されているために、頭部単独でも活動が可能なのである(活動と言っても話したり考えたりする程度であるが)。
 全身を稼動させているのはやはりモーターのようである。各関節部に付いていると考えられるが、動く時に全く音がしない事を考えるとよっぽどいいオイルを使っているのか、構造的なものなのか。空気式、油圧式の箇所もあるのかも知れない。
 皮膚テクスチャーは特殊ゴムで、ガッちゃんの光線のダメージをもある程度緩和するほどの性能である。しかも内部と連動しているのか、非常に豊富な表情や動きができる。さらには前述のチューブも通っている様子で、汗をかいたり涙を流したりもする。どう見ても人間の肌と同じようにしか見えないようである。
 一通り五感が備わっているのであるが、ただひとつ弱いのが眼である。これは千兵衛博士の設計ミスのせいであるが、そっくりそのまま同じに造られてしまったオボッチャマンも同じように視力は弱い。

 このように、至る所で人間と同じような身体のつくりになっているアラレ・システムであるが、それは機械工学のみで到達出来る技術ではない。千兵衛博士の各分野に優れた能力があって初めて成立するシステムである。


アラレ・システムの技術史

 「アラレ」のボディが数体あるという事は既に周知の事である。これは「原作」においては第16巻『?おこたえしましょスペシャル?』で明示されるし、第2巻『とつげきアラレちゃんPert2』に既に暗示され、また「新作」においても映像として既に示されている。
 ここで大切なのは、その数体あるボディは、どれも構造が100%同一ではないという事である。プロダクトタイプ(完成バージョン)だけでも、どんなに少なく見ても、メジャー・バージョンで3タイプはある。恐らくプロトタイプは動作するもの、しないものも合わせれば相当の数に上るに違いない。
 では、プロダクトタイプの3種類とは、各々どのようなものか。これはアラレの普段の行動から明確になって来る。まず第1に、最初のプロダクトタイプ、初期型アラレである。これはボディと頭部がエネルギーチューブとケーブルで繋がっているタイプで、容易に首を外す事が出来ず、従ってメンテナンスも困難なタイプである(ここでは、この初期型を「オーバーオール」というコードネームで呼ぶ事にする)。このタイプは幾度か改良が施されたが、頭部による常時完全制御と頭部をつけた瞬間にボディへの制御が働く(いわゆるプラグ&プレイ)までには至らなかった。また、エネルギーであるロボビタンAの消費量も多く、半日に1度の補給は必要だった様子である。加えて機械オイルの補給も必要だった。「オーバーオール」にはボディのサイズの違うモデルがあり、少なく見てもこのタイプだけで2体はある。このタイプでは、走行速度がマッハに達した記録はない。
 「オーバーオール」の改良型が、中期型アラレ、コードネーム「ショートパンツ」である。これの大きな改良点は、チューブとケーブルを頭部・ボディに内配線して、頭部を容易に外す事が出来(当然プラグ&プレイも実現している)、また頭部ホストによる常時制御が可能になった点である。これが採用されたのは「原作」第2巻『とつげきアラレちゃん』の時からである。
 これは比較的長く使われたようである。「原作」第5巻『ハートで勝負!』の時などはデベソ・スイッチを増設するなど細かな改造が施されたが、少なく見ても「原作」第7巻まで、遅ければ第9巻までは使われた。エネルギーもロボビタンAのみで、機械オイルはそれほど頻繁に、あるいは全くとる必要が無くなったようだ。走行速度はこの時点で超音速を実現した。
 さらに改良を施され、「原作」終了時まで細かなバージョンアップを繰り返されつつ使われたのが、後期型アラレ、コードネーム「ワンピース」である。ここに至って、アラレ・システムはほぼ完成の域に達した。このバージョンの最大の特徴が、「食事ができる」という点である。それまでロボビタンAだけによってしか出来なかったエネルギー補給が、一般の食事で可能になったのである。実際、アラレが食事をするシーンは「原作」第9巻以降しばしば描かれる。
 有機エネルギーシステムの搭載は、それまでの内部構造に大幅な改良を行った事を物語っている。体内システムは、ほとんど疑似人間の域に達したと言ってよい。とはいえアラレが排泄するという行為は記述がないので、摂食物は恐らく全てが分解され、不要物は汗ないしは排ガスという形で排出される。このタイプはマッハ3以上の速度を記録している(「原作」題15巻『恐怖のオニゴッコ』)。
 また、「ショートパンツ」と「ワンピース」はしばしば併用された。ワイヤレス機能は「ショートパンツ」で既に完成していたので、特に必要がなければ「ショートパンツ」でも構わないのである(事実、「原作」第15巻『あこがれのレストラン!!』では「ショートパンツ」を使用している)。
 ここまで論を進めて浮かぶ疑問は3つある。1つは、「ワンピース」のコピーであるオボッチャマンが「わたくしもロボビタンAではなく人間のかたたちとおなじものをたべてみたいですね」と語っている点(「原作」第13巻『愛のテレパシー』)、第2に、アラレの『ボディ・ブレイク』の際にスペアボディを使用できなかったという点、第3にキャラメルマン5号が登場した際、マシリトがアラレのケーブルを切ろうとしていたという点の3つである。
 第1の点は、答えは容易である。間違いなくオボッチャマンは「ワンピース」を原形としている(事実「旧作」では『あこがれのレストラン!!』の際オボッチャマンも同行している)。ところが、マシリトはオボッチャマンに(恐らくオボッチャマンの背信を抑制するため)食事ができる事を伝えていなかった。だから彼自身食事が出来るとは知らなかったし、自分がエネルギーを補給する方法はロボビタンAしかないと思っていたのである。
 第2、第3の点は推測の域を出ないが、恐らくはこの時期、何らかの理由があって「ショートパンツ」が使用不可能になったのではなかろうか。「原作」第14巻時点で、「ワンピース」は1体しか完成していなかった。2体めの製作の為に「オーバーオール」や「ショートパンツ」のパーツを使っていたのかも知れない。さらに、頭部のプログラムが書き換えられ、システムが「ワンピース」ネイティブになったと考えられる。「食事」がエネルギー補給の第1の手段とされれば、「オーバーオール」「ショートパンツ」では対応が出来なくなる。それに合わせて既存のボディも対応が必要になって来るが、思いのほか作業が難航し、「原作」第14巻時点で動作可能なボディが使用中の「ワンピース」だけになったのかも知れない。またシステムアップデートの影響で、「ワンピース」もバージョンアップが必要になった。そこでシステム安定の為にケーブルが必要になった(このケーブルはそれまでのものと較べ相当に太く、恐らくエネルギーチューブであると思われる)。ところがこの改良がうまく行かず、システムは以前のものに戻された。そのわずかな期間を狙い、マシリトがキャラメルマン5号での作戦を狙ったと考えられる。
 さて、このようにボディは技術の進歩と共に数体生み出されたが、頭部は作品を通じて1つしか作られなかった(「記憶データ」が含まれているため当然といえば当然である。これは容易にコピー出来るものではないようだ)。どちらにしろ、アラレ・システムは作品内でずいぶん進歩した。身長が縮んだのもコンパクト化が進んだためであり、すなわち千兵衛の技術者としての習熟を物語るものである、と言える。


千兵衛の生い立ち、及びマシリトとの確執の原因

 千兵衛の過去については原作ではほとんど触れられる機会が無く、またマシリトとの関係も一切示されていないことから、この疑問に対しての答えはあくまで推測の域を出ない点が前提である。
 まず千兵衛の生い立ちについてであるが、もともと則巻家はゲンゴロウ島の山岳部の奥深く、桑方村の出である(「原作」第11巻『じいちゃんが山からやって来た』)。ところが、父は(おそらくは勉学上の理由から)村を出、ペンギン村に越してくることになる(一部では父の名は百兵衛で、祖父の名は十兵衛であるとか、あるいは父が万兵衛で祖父が億兵衛であるなど、彼らの名前については諸説があるが、確認がとれていない)。さて、千兵衛はこうして、生まれも育ちもペンギン村である。大した病気もせずに元気に育った千兵衛は、その後ペンギン村村立小学園、中学園へと進む(「新作」において、園長が千兵衛の恩師であることが示されている)。恐らく高校も村立高学園を出たのであろう。
 また、千兵衛が10歳の時、ある理由から父と母を亡くしている(「原作」第11巻『じいちゃんが山へ帰っていった』)。その後の千兵衛が金銭的にさして苦労もなく生活が出来ているのは彼らの遺産に負うところが大きい。
 さて、高校を出た千兵衛はその後大学へ進学する。恐らくはゲンゴロウ島立ペンギン大学の、工学部機械工学科、などその方面の学科で学んだのであろう。そして専攻は当然、ロボット工学である。
 マシリトと出会ったのは恐らくこの時期であろう。千葉からゲンゴロウ島にやって来て(「原作」第6巻『Dr.マシリトの野望!! Pert2』)、千兵衛と同じロボット研究を進めていた。この2人は同大学で極めて優秀な成績を修め、学生にして一流の研究者として認知されていたようである。2人はお互い切磋琢磨し、研究仲間として、よきライバルとして認め合っていた。
 ところが、やはり実力として上回っていたのは千兵衛であったようだ。プライドの高いマシリトは、飄々と自由気ままに研究活動を行う彼の姿にやがて嫌悪感を、そしてその研究者としての高いセンスにねたみを覚えるようになり、ついにはそれが憎しみへと変わる。もともと千兵衛は家庭用お手伝いロボット、ハウスワーキングロボットの製作と実用化を研究課題としていたのに対し、あくまでマシリトは戦闘用ロボット、軍事利用の可能性を模索してロボット研究を進めていたせいもあり、マシリトの目には千兵衛のしている研究が大変に陳腐でチープなものに映ったに違いなかった。
 そしてとうとう同窓の徒であった2人は袂を分かつことになる。その後2人は思い思いの研究を進め、院、博士課程と進み、恐らくは25歳頃という極めて若い年齢で博士号を取得したものと思われる。千兵衛が自らの研究所を建て、「アラレ」と呼ばれるハウスワーキングロボットを(完成とは行かないまでも)実用化させたのとほぼ同じ時期、マシリトも「キャラメルマン」の名を冠した戦闘用ロボットの開発に成功した。2人の因縁は再び交錯したのである。


なぜアラレとオボッチャマンは性格が異なるのか?

 前述の通り、アラレとオボッチャマンは、システム的には全く同じであり、ボディは完全互換(いわゆるコンパチブル)である。にもかかわらず、ああまで性格が異なるのはなぜか。
 アラレ・システムは、誤解を恐れず言えば、ボディ単体では動かない。頭部に格納される「電子頭脳」というホストの制御がなくてはならないのである(逆に言えば、ホストの制御下にあれば、「原作」第10巻『アラレちゃんのなくしたもの』のようにボディと頭部を取り外しても機能する)。キャラメルマン7号にオボッチャマンが倒された際、ボディは壊れていなかったのにオボッチャマン自身が動くことが出来なかったのは「オボッチャマン」というホストの制御下に彼のボディが無かったためである。
 ボディは言うなればハードウェアである。電子頭脳もそうである。ハードは、ソフトが無ければただのガラクタである。それは「アラレ・システム」についても同様である。
 「アラレ・システム」には、OSとも言える基本プログラム「自己学習型思考プログラム」が内蔵されているが、これだけでは単純に無機質な「考えるキカイ」であり、アラレとオボッチャマンの性格の差違を説明することは出来ない。
 アラレが「アラレ」たり、オボッチャマンが「オボッチャマン」たる決定的、かつ恐らく唯一の違いが「性格/感情プログラム」である。我々人間の持つ知能のもう一面、論理的思考とは異なる知性の作用。「アラレ」の完全なコピーであるオボッチャマンを製作する際、マシリトが(ソフト面で)唯一意識的にアラレのものと異なる作りにした部分。思考プログラムのアドオンとして動作する、だが「アラレ・システム」の理論的根幹となるプログラムである。
 これらのプログラムは成長性があり、極めて(疑似)有機的であるので、システムが稼動している時間が長ければそれだけ人間に近付いていく。この「性格/感情プログラム」の開発は、その後の千兵衛のロボット工学において大変重要な意味を持ち、多くのロボットにそれぞれ個別のプログラムが搭載された。アラレ以外のロボットで言えばまずはタイムくんが挙げられるし、その後もホンモノマシーン、バーバーマン、おとぎマシーン、ボクシングゲーム、ピンポン号、100円ライター、など初期のものに留まらず、コピーくん、アキコさん、変身コンコンヘルメットなど、枚挙に暇がない。
 ただ注意すべきは、「スーパーセンちゃん」に限っては、思考プログラムも性格/感情プログラムも搭載されていなかったという点である。


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